しわのわについて
「しわのわ」は、広島県東広島市・志和(しわ)町を拠点に、地域に根ざした学びや交流の場づくりをおこなう一般社団法人です。
人と人、人と地域をつなぎ、持続可能な学びと暮らしを未来へ残す活動(志和の教育や文化を支える仕組みづくり、空き家の活用、ツアーイベントやカフェ・宿泊施設の運営など)を行なっています。
志和という地域について
志和は、広島県東広島市の山あいに広がる盆地で、 四季や天候によってホタルやレンコン畑など美しい景色を見ることができます。
農業に従事する人も多く、「自然が近くにある」「人がとてもあたたかい」など多くの魅力を秘めた地域です。
今回のインタビュー
そんな志和で、伝統的な茅葺き(かやぶき)の保全と活用に力を注いでいるのが櫻井紫(さくらい ゆかり)さんです。
地域おこし協力隊として活動し、茅葺きを保全する活動をされています。
「茅葺きを100年先まで持続可能な形で残していきたい」という彼女に、密着インタビュー!

志和に魅せられて
「志和は、毎日空の表情が違うんです。雲が降りてきたり、夕暮れの光に包まれたり。その変化を見るのがすごく好きで。」
櫻井紫さんが感じる志和の魅力は、自然が近く、人が温かいこと、そして茅葺き屋根が残る風景があること。
志和は、暮らす人にも訪れる人にも、安心感を与えてくれる場所です。

茅葺きとの出会い
櫻井さんが茅葺きと深く関わるようになったのは、大学時代。留学の機会を断念したことをきっかけに、地域に目を向けるようになりました。
「最初から茅葺きが好きだったわけではなく、人とのつながりや場の雰囲気に引かれて関わるうちに、いつの間にか“どっぷり”浸かっていました。」
ほたる荘(しわのわの運営する志和の茅葺き古民家)に集う人々との交流から、屋根修復のプロジェクトが生まれました。そこから、茅葺きに関わる日々が始まります。

茅刈りの作業中。 写真左にある「茅(かや)ぼうとう」を作ります。
「茅」「茅葺き」とは何か
「“茅”っていう植物は存在しないんです。イネ科の植物の総称で、このあたりではススキが多いんですよ。」
ススキなどを束ねて分厚く重ねて雨や雪から家を守る、日本の伝統的な屋根のかたちが「茅葺き」(かやぶき)なのだそうです。
かつて農村では当たり前だった風景ですが、いまでは守らなければ失われてしまう文化になりつつあります。
耕作放棄地を整備し、茅場(茅を採取する場所)を維持する櫻井さん。
「同じ面積でも手入れ次第で収穫量が全然ちがう。だから継続的に刈って、ちゃんと管理することが大事なんです。」

茅刈りしたもの 茅束は、2-3mにもなるそうです!
冬が一番忙しい!
活動の中心は茅刈り(かやかり)。特に冬が一番忙しい時期です。 朝、現場に集まり、初めての人には刈り方をレクチャー。
鎌を手に、2〜3時間かけて草を刈り、お昼を挟んでまた作業を続けます。刈った茅は軽トラに積み込み、旧・志和堀小学校へ運ぶそう。
「大変ですが、仲間と一緒に汗をかくと不思議と楽しくなるんです。」

トラックの荷台がいっぱいですね!

廃校となった小学校から、現場に茅を運びます
協力があるから続けられる
これまでのイベントでは、少人数だと和気あいあいと学びやすく、大人数だと活気が生まれると感じたそうです。
「イベントも行っているんですが、最後に重要になるのは人手ですね。茅葺き職人さんの技術があっても、茅刈りの担い手がいないと続けられないんです。」

刈り取ったかやを使って茅のほうきを作ったりされているそう!使いたい
100年先へ残したい風景
「志和堀に残る6棟の茅葺き屋根を、何十年、100年先まで持続可能な形で残したい。風景を守るには、文化や歴史も一緒に継いでいかないといけないと思っています。」
茅の保存活動を通して、文化をつなぐ。櫻井さんの活動は、目の前の仕事でありながら、同時に未来を見据えた挑戦でもあります。
「だからこそ、関心を持って関わってくれる人を増やしたいんです。」

地域の茅刈りイベントの様子です(しわのわも参加)
これからの挑戦
櫻井さんは来年、地域おこし協力隊の任期を終え、茅葺きの宿の立ち上げへと挑戦します。
「志和には正式に泊まれる場所が少ないので、地域の人も気軽に利用できる宿を作りたいと思っています。」
「まずは志和に来て、見て、感じてほしいです。茅刈りの体験も大歓迎です。」と語る櫻井さん。
自然、文化、人の温かさが融合する志和という土地で、美しい景色を未来へつなぐ活動に参加してみませんか?
記事を書いた人
宮﨑 晴香(みやざき はるか)
佐賀県在住。「しわのわ」の広報チームとして活動紹介やInstagramを担当。学生時代に志和の古民家シェアハウスに住んだ経験から地域の魅力にハマる。志和から離れた場所にいても関わっていける方法を模索中。