茅葺保全

視察レポート 〜津山市における重要伝統的建造物群保存地区の取り組み〜

1. 津山市城西地域へ!

 3月29日、「重要伝統建造物群保存地区」(以下、重伝建)について学ぶために、岡山県津山市中心部の城西地区を訪れました。メンバーは、志和出張所所長の坪井さん、志和堀地域の森行さん、しわのわの3名(杉川、櫻井、笠井)の合計5名です。

  津山市には、津山城を挟んでその両脇に城西地区と城東地区があります。その2つの地区に、重要伝統的建造物保存地区があります。今回訪問したのは城西地区で、令和2年に重伝建指定されたエリアです。町を散歩すると、修景された建物が見られました。そんな趣のある建物の一角に焼き芋屋さんがあり、店主のおじさんとお話すると、お祭りのことなど、町の情報を教えてくれました。

作州民芸館の様子

作州民芸館に到着!中は、お弁当や、お土産品が並んでいました。

2.城西まちづくり協議会の皆さんのお話

 視察を受け入れてくださったのは、城西まちづくり協議会の事務局長の佐々木さん、津山市市役所の平岡さん、津山市議会議員の白石さんの3名です。

お話を聞かせていただく。

重伝建の選定の経緯をお聞きしました。ポイントになるのは、地域住民の側で、「重伝建に指定してほしい」という要望を行政に出すことが、とても大切であるとのことでした。そして、専門家による調査を行ってもらうことで、選定に向けた「その地域にある建築物群の価値」を見つけていくステップを踏んでいきます。

また、重伝建は、地域住民の合意形成を得ていくことは、なかなか大変なことです。しかしながら、地域住民側で、コミュニケーションを取り、行政と連携しながら、進めていくことが肝要とのことでした。

城西まちづくり協議会そのものの成り立ちや、取り組みについてもお話を伺いました。この組織は、東広島市でいう住民自治協議会のような組織ですが、少し成り立ちが違うようです。住民主体の課題意識をもとに立ち上がった団体だということです。それゆえ、自治の意識が強く、まちづくり・福祉部会・防災防犯部会の3つのテーマで部会活動を行い、また、毎年1回、地域としての要望をまとめ、行政に要望書を提出しているそうです。その結果、観光駐車場が整備されるなど、行政側も地元の思いにしっかり応えて、まちづくりを進めておられる様子を伺いました。行政と地域住民がコミュニケーションを取りながら、より良いまちづくりを進めておられるところが、素晴らしいと思いました。

 

3. 「作州民芸館」と「城西浪漫館」

 

 城西地区には、町のシンボルとなるような、2つの国登録有形登録文化財があります。「作州民芸館」と「城西浪漫館」です。作州民芸館は、元々、明治時代に建てられた旧銀行の建物でした。市が購入し、城西まちづくり協議会が指定管理を受けています。城西浪漫館は、大正時代に建てられた元々病院の建物です。持ち主が市に寄付した後、現在は城西まちづくり協議会が指定管理を受けて、運営しています。2つとも「まちの駅」として機能していて、「地域住民の店」と「観光施設」の両面の役割を持った運営を目指しているそうです。2つの文化財は徒歩数分の距離にあり、とてもいい雰囲気でした。

浪漫館でコーヒーをいただく。

 浪漫館の名物は、珈琲なのですが、なんとコーヒーに使用される漢字の「珈琲」は、江戸時代に、津山市の藩医・宇田川榕菴が考案したものとのこと。そして彼は当時オランダ人が日本に持ち込んだ珈琲を淹れる機材を、イラストに残していました。そのイラストをもとに、実際に使用できるものとして復元した「珈琲罐(コーヒーカン)」が、3台、この浪漫館にはあるのです!メンバー一同、迷わず注文し、美味しい珈琲をいただきました。

 

4. 終わりに

 今回が初めての視察でしたが、重伝建に関して具体的な話をたくさん伺うことが出来ました。「住民側の同意を得ることの大切さ」や、「重伝建指定後にそれを活かすのは地元住民であること」、「まちの何に価値を見出すのか明確にすること」など、多くのヒントを得ることができ、有意義な視察となりました。

 皆さんの取り組みをお聞きしながら、私たちも、魅力ある住みやすいまちづくりを目指して、志和でも取り組みを進めていきたいと思いました。

みなさんと集合写真

 

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